32 1 ヤコブの一行は旅を続けました。 すると神様の使いたちが現われたのです。 2ヤコブはその姿を見ると、「神様はここにおられる」と叫び、そこを「神の領地」と名づけました。 3 さてヤコブは、セイルの地エドムにいる兄のエサウに使いをやり、こう言わせました。 4「兄さん、おひさしぶりです。 ヤコブです。長いことごぶさたしましたが、お変わりありませんか。 私は最近までラバン伯父さんのもとに身を寄せていました。 5ようやく、牛やろばや羊や奴隷を持てるようになったので、帰国することにしたのです。 だれよりもまず兄さんに、そのことをお知らせいたします。どうか快く迎えてくださいますように。」 6 使いが戻りました。 エサウは四百人の手勢を引き連れて、出迎えに来る途中だということです。 7恐れていたとおりです。 なんとか手を打たなければなりません。 ヤコブは気が動転しながらも、窮余の一策を練りました。 一行を二つに分けるのです。 家畜の群れや、らくだも全部です。 8「もしエサウが一方に攻撃をしかけても、もう一方はなんとか助かるだろう」というわけです。 9 やるだけのことはしました。 あとは神様に祈るだけです。「祖父アブラハムも信じ、父イサクもお従いする神様、国へ帰れと私に命じ、必ず祝福すると約束してくださった神様、 10神様はいつもお約束どおり、私によくしてくださいました。 そんな資格は私には全くないのにです。 家を出た時、私は杖しか持っていませんでした。しかし、今は違います。 あの二つに分けた財産はみな、私のものです。 11神様、どうかお助けください。 兄はどんな手荒なことをするかわかりません。 私たち一家を皆殺しにするかもしれないのです。考えただけでもぞっとします。 12お約束では、私を祝福し、子孫を海辺の砂のように多くしてくださる、ということでした。 今そのお約束を思い出してください。」 13-15131415その夜はそこに泊まり、兄エサウへの贈り物を用意しました。 雌やぎ二百頭 雄やぎ二十頭 雌羊二百頭 雄羊二十頭 乳らくだ三十頭とその子 雌牛四十頭 雄牛十頭 雌ろば二十頭 雄ろば十頭 16ヤコブは召使たちに、ひと足先に群れを追って行くように指示しました。 また、それぞれの群れの間に距離を置くようにも言いました。17先頭の群れを追う男たちには、特に念を押しておかなければなりません。 兄エサウと出会ったら、きっと「どこへ行くのか。 主人はだれで、この家畜はだれのものだ」と聞かれるだろうから、 18「エサウ様ですね。 これはみな、あなた様の召使ヤコブのもので、ご主人のあなた様に差し上げる贈り物でございます。 ヤコブもすぐあとからまいります」と答えるように、と言い含めました。 19 あとに続くグループにも同じようにし、同じことを言うよう指示しました。 20顔を合わせる前にまず贈り物をして、なんとかエサウをなだめようというのです。 「こうすれば、いくら兄さんでも手荒なことはしないだろう。」 21もう贈り物は持って行かせたし、その夜はテントで寝ることにしました。 22-24222324しかし、やはり心配でなかなか眠れません。 まだ夜中だというのに起き出し、二人の妻と二人のそばめ、それに十一人の子供を起こしました。 家族を連れてヨルダン川を越え、無事にヤボクの渡しを渡り終えるのを見届けると、もう一度テントに戻りました。 もう全く一人きりです。 と、そこへ一人の人が現われたではありませんか。 二人は明け方まで格闘を続けました。 25なかなか勝負がつきません。 その人はとうとう、ヤコブの腰を打って関節をはずしてしまいました。 26 「もう行かせてくれ。 じきに夜が明ける。」 その人が頼みました。 しかしヤコブは、はあはあ息をはずませながら答えました。 「私を祝福してくださるまでは絶対に離しません。」 27 「おまえの名前は何というのか。」 「ヤコブと申します。」 28 「いや、もうヤコブではない。 神と戦い、強さを示したのだから、イスラエルと変えるがいい。 これからは人と戦っても勝つだろう。」 29 「よろしければ、お名前をお聞かせください。」 「いや、それはできない。」 そう答えると、その人はその場でヤコブを祝福しました。 30 ヤコブはそこをペヌエル〔「神様の顔」の意〕と名づけました。 彼が、「神様とじきじきお会いしたのに、死なずにすんだ」と言ったからです。 31さあ、出発です。 日ものぼりました。 しかし、腰の関節がはずれていたので、足を引きずらなければなりませんでした。32イスラエル人が今でも腰の肉を食べないのは、このためです。
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Selected Verses